13th SKIMO栂池 山岳スキー競技日本選手権2019


2019年4月6-7と、長野県栂池にて当レースが開催された。
今回からは、前日にVerticalといって、一気登り一本勝負というカテゴリーがプラスされた。メーンのIndividualと合わせて出るも、
どちらか一方に出るもあり。 ※写真&動画は、MILLET林さんからいただいた


この山岳スキーレース(通称:SKIMOレース)の特徴を3つあげるとすればこうだ。
1.設定されたコース内で、スキー裏にシールという滑り止めを着け、自分の脚で登る
2.シールを剥いで滑走モードで滑降する
3.登りモード⇔滑降モードの際の、素早いトランジッションも競技のキーとなる
※この他に、スキーを担いでブーツで登ることもある


私も、2009~2015年まではおもに選手として参加してきたこの栂池SKIMO。人生を180度変えた2008年と同期してるだけに、
あのゴンドラでうえに向かうときの妙な緊張感と孤独感、そして春の訪れを感じるこのレースは、なんだか特別な想いがあるもので。


2009年当時は、いまの最高到達点である、西ヒヨドリ下のコルからさらに2,160mの天狗原東端まで登りつめてからの
東側急斜面があったのだが、BCエリア内でのコースは雪崩リスクや旗門スタッフの問題など、ハードルが高い。
ゆえにいまはヒヨドリ裏+栂池自然エリアのコースに落ち着いた感じだ。それでも、BCエリアは天候によるリスク回避が大事で、
毎年コースにはアレンジが加わる。まさに実行委員会泣かせの大会だ。
それでも、今回は天候もなんとかもってフルコースで出来たのである。


しかし、今回のレースはなんといっても”小川壮太”の勝利だ。2011年から鳴り物入りで参戦しだしたときは、ちょうどあの
震災の直後で、チャリティーレースとして開催された特別な回だった。その後、幾多のレースでチャンピオンである藤川健に挑むも、
あの神がかった滑りには敵わなかった。まさに絶対王者。そこへ2012年から参戦しだした加藤淳一という同郷のライバルも出現。
スタート後、トランジットエリアで選手は一度ゴール会場横を通過するのだが、今回は、その3人のまさに三つ巴の戦いであった。


誰が最初に帰ってくる? 無線ではすでにトップが最後の滑降に入ったとの情報が入っていた。
会場が固唾をのんで見守るなか、300m先にある最後の斜面上に一人の選手が現れた。以外にも悠々と滑降してくるので、
会場で待つ私たちはなんだか一瞬不思議な気持ちになった。
風を切る音が聴こえてくる様なスピードで激戦を制したトップが帰ってくるはずなのに、と。

フジケンがやはりこの激戦を制したのか、はたまた2017年にその絶対王者を破った昨年の大ケガから復調しつつある加藤淳一なのか…。

すると、その選手は両腕をなんども挙げながら、ときに雄叫びをあげているのが聞こえてきた。そうか、勝利を確信したヴィトリ―ロードを
噛みしめつつ、万感のおもいでウイニングランをしているのか?! 
で誰だ?誰なんだ?! 

フィニッシュエリアに入ってきたその選手は、青のスーツ、オレンジのヘルメット、壮太か、壮太なのか??!! 
やっぱあれは小川壮太なのか!!
「SOTA OGAWA、小川壮太、SOTA Come on,come on SOTA !!!」
今回、ゴール会場限定という事でMCをやらせていただいた私は、過去最高に気持ちの良いアナウンスで彼の勝利に立ち会った。


女子は、やはり現在無敵の星野緑が一番でフィニッシュ!! 滑りに迫力がある。
前日開催されたVERTICALでは、新進気鋭の滝澤そら選手の後塵を拝することになったが、見事3冠を達成した。
滝澤、上田選手といった若手が続々と参戦して強くなってくるのもとても楽しみだが、星野、渡邊、加藤といった選手の
活躍も、自分と歳がちかいということもあり、やはり嬉しいものだ。

また、太宰・伊藤・田中選手をはじめ、他カテゴリー選手の活躍も、こうやってMCという立場でみるとひと際オリジナリティが
あって良いとおもった。


で、私は当レースへは今後も演出方面で尽力させていただきたいと強くおもった。
来年は、音響設備の準備を万端にして、さらなる当レースをはじめとしたSKIMOレースの普及促進ができれば。
もちろん、自分のSHORT SKIMOでの北アチャレンジは引き続きメーンとしてやる予定だ!※写真は梅田選手のものを拝借


今回は、常連選手の山田宏さんはじめ、横尾絢子さん達によるフラワーセレモニーという演出もはじめての試みだったけど、そこに
声をかけていただき大変光栄だった。いまやSKIMOシーンに欠かせないハブである平田さんはじめ、レジェンド松澤さん。
彼らは選手でもあるけどこうして裏方をやってSKIMOレースの素晴らしさに尽力されている。私も自分なりの楽しみ方と向いてることで
ぜひ貢献したいと思う。そして、実行委員会の澤田さんにもそこをご理解いただき、大変感謝しております。

また、当レースの旗門スタッフの業務はリアル雪山であるだけに、選ばれし人だけが任務をまっとうできるものだ。
緊急用のおおきなザックを背負いながら、早朝から山に入ってくれていた野田さんをはじめとするスタッフの方々、大変お疲れ様でした。
選手の皆様は、そういったスタッフがいる背景も知ると、ますますこの大会開催への感謝を実感して、さらに良いモノになるはず。

最後に、栂池常連でもあり、2月に亡くなった、小谷部明さん、そして西田由香里の死を皆さんがどこかで受け止めながら、
レースをしている姿にも心を打たれるものがあった。
倉橋さんがプロデュースしたこの西田由香里メダル、じつは2014年にTJARに西田といっしょに参戦していた中村雅美さんデザインのものとか。

そんな心意気が素晴らしい、2019年大会だった。
令和という新時代をまえに、SKIMOシーンが確実に変わってきた。
また来年も盛り上げていきたい。

いつも読んでいただきありがとうございます☆

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